朝日工業社SUSTAINABILITY

社外役員ダイアログ

社外役員ダイアログ

社外取締役ダイアログ

社外取締役藤山ふじやま 雄治ゆうじ

社外取締役奥宮おくみや 京子きょうこ

社外取締役田村たむら 昭二しょうじ

健全で確かな成長を持続させるため
社外の視点で私たちが監督、支援しています

朝日工業社グループがこれからも企業価値を向上させ、
持続的に成長していくためには、社外の視点で客観的な立場から、
さまざまな経営上の意思決定や業務の執行に監督や助言をいただく
社外取締役の存在がますます重要となります。
今回、異なる経歴とスキルを持たれる当社の3名の社外取締役にお集まりいただき、
当社グループのガバナンスや取締役会、未来などについて対談いただきました。

社外取締役としての朝日工業社グループでの役割

田村:私は40年以上、IT業界に身を置いていますが、IT業界はお客様からの大きな金額の受注がベースとなるため、なかなか数字が読みにくいところがあります。
当社グループは設備工事を軸に事業を展開しており、IT業界同様、受注の状況に応じて業績が大きく左右されるはずですが、業界の動向や社内の状況をつぶさに把握し、適格な原価管理のもとで、ほぼ計画通りの業績を残すことのできる、極めて堅実な会社だと感心しています。
我が国では近年、まちづくりに関してはスマートシティ化がテーマとなり、建設業界では建設DXや、設計・積算作業、さらには施工管理の合理化につながるBIMなどの取り組みも進んでいます。
当社グループでもDXの取り組みを進めていますが、取締役会では、私自身の持つ知識や経験を踏まえて発言しています。

※BIM: Building Information Modeling

奥宮:私は弁護士としての活動を行う傍ら、中央官庁などの委員会で重職を任せられ、また地方自治体の監査にも携わった経験もあります。
当社の社外取締役としては1年間の経験を積みましたが、当社グループの施工実績を見ると、駅や空港をはじめ、病院、工場、オフィスビルなどを多数手がけており、確かな技術力を持つ、社会インフラを支える企業であると認識しています。
取締役会では、弁護士としての経験を活かしてコンプライアンス、ガバナンスに関する助言を行うほか、行政機関での経験を活かして、環境問題や女性活躍推進といった課題についても、積極的に助言を行っています。
技術や経営についてはまだまだ勉強中ですが、客観的な視点での、忌憚のない発言を心掛けています。

藤山:私は警察庁の警察官として長く勤務していました。
警察庁では法律に則り、社会秩序を維持することが最大のミッションとなりますが、こうした経験もあり、当社の取締役会においては、組織の運営はどうあるべきか、公正公平な業務執行はどうあるべきかという視点から発言をするように心掛けています。
警察組織と当社グループの類似点を探すことは容易ではありませんが、例えばダイバーシティの推進という点では共通する部分もあります。
警察庁は1990年代以降、女性の採用に注力し、近年は幹部職に就く女性も増えています。
当社グループも女性の登用を進めていますが、こうした点でも助言が出来ればと考えています。

コーポレートガバナンス、取締役会について

田村:取締役会に付議される案件の多くは、一度、経営会議で議論が尽くされています。
取締役会の議論では、やはり執行側での議論を知っておく必要がありますが、社外取締役に対して経営会議での資料が共有されるほか、丁寧な説明も受けています。
こうしたオープンな姿勢は非常に重要で、取締役会における議論の質の向上にもつながります。
取締役会の運営面では、取締役会議長としての髙須社長のファシリテーションは実に見事です。
議案によっては議論に長い時間を要するものもありますが、議論を決して打ち切らず、さまざまな意見に耳を傾ける姿勢には感心します。
指名・報酬諮問委員会も適切に運営されており、特にこの3、4年で、次世代の経営人財が確実に育成されていると感じます。

奥宮:取締役会議長としての髙須社長の議事進行は、田村さんが話された通りで、社外取締役や監査役を含め、意見を述べる機会がしっかりと確保されています。
当社は監査役会設置会社であり、報告事項を含め、多くの議案が取締役会に付議されます。
決議事項も効率的に審議されていますが、敢えて言えば、決議事項ではない報告事項についても、社外取締役も含めてもっとフリーディスカッションができるような場があってもよいと考えます。
田村さんが冒頭で触れられたBIMなど、技術面への理解も含め、当社グループの将来を考えて、何が重要なのかをじっくり議論をする場が必要です。
人財面では、真面目な社風もあり、未来を担う優秀な社内人財も育っていますが、環境変化に備え、少し「尖った人財」を登用するようなシステムも必要だと思います。

藤山:フリーディスカッションの場に関する奥宮さんのご提案については、私自身も同感です。
会社が設定した議案についての議論に加え、逆に社外取締役からテーマを設定し、執行側の方々に投げかけて情報を引き出す場があると、会社に対する我々の理解は格段に高まるはずです。
ガバナンス全般の観点では、当社グループはコーポレートガバナンス・コードの諸原則を強く意識して、ガバナンス・システムの強化を進めてきました。
現状、問題となるような事案は発生していませんが、一般論としては、企業の不祥事は情報を隠蔽する行為から生じることか多く、そのような兆候を見逃がさず、きちんと解明をすることが社外取締役としての重要な役割の一つだと思います。

これからの経営、事業活動への期待と課題

奥宮:藤山さんのご意見の通り、情報を隠蔽するような行為は現状の当社グループにはありませんが、それを防ぐための仕組み自体は、定期的に見直す必要があります。
コンプライアンスへの取り組みというものは、時を経ると次第に緩んでいくものです。この点については、取締役会において常に警鐘を鳴らし続けたいと考えています。

事業面で、当社グループの持続的成長の鍵を握るのは環境技術です。その点では他社に引けを取らない優れた技術を持っており、こうした技術をさらに研ぎ澄ますことで、カーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献できるものと期待しています。
もう一つは人財力の強化です。「尖った人財」の必要性については先ほども触れましたが、女性幹部の積極的な登用も含め、穏やかな社風を突き破っていくような人財の登用にも期待しています。

田村:冒頭でBIMへの取り組みについて触れましたが、社外取締役からの要請で、取締役会で当社グループのBIMの取り組みについての報告を受けました。説明を通じて、BIMに対する当社グループの考え方、確かな進捗が確認することができ、安心しました。
この取り組みが今後、当社グループの成長に役立っていくと感じました。
技術開発面で期待を寄せているのが、現在建設中の「つくば新技術研究所」です。創立100周年を迎える2025年秋の完成を目指していますが、「探求心・知的好奇心を醸成し、次世代の環境と新事業の創出に挑戦する」ことをビジョンとして掲げており、この新しい研究所から、設備工事業界をリードする新技術が生まれ、社外にも情報発信されていくことに期待しています。

藤山:当社グループの企業理念などでは、「最適空間」や「快適環境」という言葉がよく使われています。
とても良い言葉であり、当社グループは価値あるビジネスを展開しているとつくづく思います。
設備工事事業を通じて社会インフラを支えることは当社グループが果たすべき大きな責任であり、それを成し遂げる実力の備わった会社でもあると思います。
こうした使命を担う会社で働ける幸せを、当社グループの皆さん全員がもっと感じながら、高い志を持って業務に邁進していただきたいと考えています。
100年の歴史のなかで培ってきた先人の思いを受け継ぎ、これからもお客さまや社会に寄り添う、真面目で誠実な会社であり続けてほしいと願っています。